久野友萬

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久野 友萬
今年のクリスマスイブは生憎の平日ですが、これから年始にかけてのホリデーシーズンでは、好きな人との勝負デートに臨む女子も多いことでしょう。今回は、相手の性的欲求を高めて「この人ともっと一緒にいたい」と思わせる、科学的なテクニックをご紹介!

「今夜は一緒にいたい♡」と思っても、自分から口に出すのは恥ずかしいし難しい。言わずとも気分が盛り上がり、そういう温度になるのがベスト。ではそんなセクシー度を上げるにはどうすればいいのか?

勝負デートのサイエンス:ファッション編

ファッションには赤を取り入れよう

まずはファッション。迷わずを選びます。
ロチェスター大学のアンドリュー・エリオットらの論文『Romantic Red: Red Enhances Men’s Attraction to Women』(ロマンティックな赤:赤が男性を女性に引きつける)によると、27人の男子学生に白い服と赤い服の同じ女性の写真を見せ、どちらが魅力的かを調べたところ、赤い服を選ぶ人が約2倍も多く、白以外の色との比較でも同様の結果が出たのです。しかも質問をセックスしたいかどうかに変えても結果は同様でした。
これには社会的な理由よりも生物の本能に理由があるようです。類人猿では性器が充血し赤くなると交尾可能のサインです。その名残りが人間の性衝動にも残っているのでしょう。
面白いことに赤の効果は美人でもなく不美人でもない、普通の顔立ちをもっとも魅力的に見せるのだそうです。

くびれが際立つデザインを

男性が女性を好きになる絶対的な基準にウェストのくびれがあります。ウェストがくびれている=健康で若く出産可能と判断する。ウエスト-ヒップ比が0.7が最も魅力的に見えるとされ、多くの研究がこれを裏付けています(Singh, 1993; Henss,2000など)。

主義主張は無関係に、これは生物のプログラムなのでいかんともしがたいようです。ウェストが細い方はその細さを強調し、そうでない方はコルセットで締めたりベルトでウェストをマークしたりすることでくびれを錯覚させれば、パートナーの本能に訴えることができます。

勝負デートのサイエンス:男性ホルモン編

女性も男性も、男性ホルモンが増えると積極的になります。
なので、デートの前、デートの内容に、男性ホルモンがより分泌されるものを選んでみてはいかがでしょうか。

アロマでテストステロンを増加させよう

勝負デートのときは、自分にも気合いを入れなきゃいけません。それにはアロマが有効です。長崎大学大学院と公益社団法人 日本アロマ環境協会の共同研究で、40代の女性15名に10種類のアロマを嗅いでもらい、唾液中のテストステロン(男性ホルモンの一種)の変化を調べました。ジャスミンローマンカモミールクラリセージの3種類でテストステロンの増加が見られたそうです。つまり、出かける前の一杯はハーブティーが良さそうです。

デートはシューティングゲーム、バッティングセンター、アクション映画がおすすめ 

性欲をコントロールするのが性ホルモンというのはご存知ですね。男女ともに男性ホルモンと女性ホルモンが分泌され、男性の場合は男性ホルモンが、女性の場合は女性ホルモンの増減が性欲と密接に結びついています。
性ホルモンが増えれば性欲が増加しますが、排卵サイクルとリンクする女性ホルモンは増やすのが難しい。しかし男性ホルモンを大量に分泌させることはできます。それはバイオレンスです。

ミシガン大学が劇団を使って行った実験では、権力と男性ホルモンの関係が調べられました。男女問わず、部下を首にする上司を演じただけで、男性ホルモンが増加しました。権力を振りかざすと男性ホルモンが分泌されるのです。
でもそれではデートDVですよね。暴力を振るわなくても、強い衝動がポイントなので、ゲームセンターでシューティングゲームをする、バッティングセンターへ行く、アクション映画を見るといったことでも男性ホルモンの分泌は高まります。ちなみにハーバード大学が女子学生を対象に、射撃とテストステロンの分泌量を調べたところ、人によっては通常の100倍もの男性ホルモンが分泌されたそうです。
気になる相手とのデートでは、男性ホルモンを分泌できるような、ドキドキするデートスポットを選んでください。
 

勝負デートのサイエンス:食事編

セクシーな空気にしたいなら、男性は空腹、女性は満腹で

デートに食事は大事。でも気を付けたいのは、女性が空腹より満腹の時の方が性的な刺激により反応するのに対し、男性は反対に空腹時の方がより性的に興奮すること。ドレクセル大学は、被験者となった女性が空腹時と満腹時に男女が抱き合った写真を見せ、MRIで脳の活性度を測定したところ、満腹時の方が活性度が高かったそうです(The way to her heart? Response to romantic cues is dependent on hunger state and dieting history: An fMRI pilot study.DOI:10.1016 PMID:26145276)。
つまり、セクシーな空気に持って行きたい時は、自分はお腹いっぱい、パートナーはお腹が空いたままというのが良いのです。総じて女性は男性より少食なので、自分のお腹に合わせて食事をすればいいでしょうね。定食屋や居酒屋よりも、食事よりもアルコールが主体のバーやカフェがおススメです。

動物性脂肪が気分を穏やかに気持ちよくさせてくれる

何を食べたらいいのか? 動物性脂肪に含まれる脂肪酸の一種、アラキドン酸は脳内でアナンダマイドという物質に変化します。アナンダマイドはなんと大麻の酩酊成分を受け取るカンナビノイド受容体と結合、恐怖を抑え、感情を穏やかにし、鎮痛作用をもたらします。大麻のように働くわけではありませんが、気分を穏やかに気持ちよくさせるのです。2人でいたいと思わせるにはアナンダマイドの力を借りましょう。

アラキドン酸がもっとも含まれているのは鶏卵、それも生卵です。続いてサワラなど青魚(生の方が圧倒的に含有量が多い)、鳥の胸肉、レバー類、畜肉です。焼肉屋さんでユッケとレバーを頼むのが良いのでは? アラキドン酸がアナンダマイドに変化するには最低でも1時間はかかるので、食事はゆっくり楽しんでください。

適度なアルコールは性的な欲求を高める

アルコールはほどほどに。適度なアルコールは視床下部を刺激し、脳内物質を分泌します。お酒を飲むと楽しくなるのはそのためで、脳内物質が自律神経のうちリラックスさせる交感神経に働きかけるために、性的な欲求も高まります(セックスをしたい衝動にも2通りあり、口説き落としたい、セックスしたいという攻撃性は男性ホルモンの働きですが、一緒にいたい、抱き合いたいというやわらかな衝動は交感神経の働きです)。しかし酔い過ぎると逆に男子ホルモンの分泌量が激減します。酔うと勃起しないという理由です。

そういうわけで、赤い服を着てバッティングセンターやゲームセンター、バイオレンス系の映画を見るなどして、焼き肉、でも食べ過ぎない飲み過ぎないことがその気にさせるデートコースということになります。
成功を祈ります。

参考
http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/document/topic8.pdf

Photo:StockSnap
久野友萬

サイエンスライター。パソコン誌編集者を経て、フリー。 企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。 北芝健(元刑事・犯罪学者)、三上丈晴(月刊ムー編集長)などと親しい。 テレビ出演多数。 著書に 「ラーメンを科学する」(カンゼン) 「なんでも未来ずかん」(講談社) 「みんなのための「ストレスチェック制度」 明解ハンドブック」(双葉社) 「オーラ⁈ 不思議なキルリアン写真の世界」(双葉社) 「ホントにすごい!日本の科学技術」(双葉社) 「ビタミンCは人類を救う!!」(学研パブリッシング) 「大人の怪しい実験室」(データハウス) 「あぶない科学実験」(彩図社) 「媚薬の検証」(データハウス) 「実録 本当にあった警察の心霊事件簿」(学研パブリッシング)

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