「空気を読む」ことを強要されるのが日本の社会の特徴ですが、他の人のことばかり気にしてしまうのには理由があって…。今回は心理学の観点から、他人の目が気になってしまう自分を変える方法をご紹介します。
宮野茉莉子

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宮野 茉莉子

去年ドラマ化された『凪のお暇』の主人公・凪の最初の頃のように、他人の顔色を伺ってビクビクしたり、空気を読んで意見を合わせたり、自分がどう思われるかばかり気にしてしたりしていませんか。

他人を意識する人は一見“いい人”のようでいて、実は自己中心的である」と指摘するのは、フロイトやユングと並ぶ心理学界の三大巨匠のひとり、アドラーです。

2013年に発売された『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎/古賀史健/ダイヤモンド社刊)で一躍有名になったアドラー心理学。

今回は、アドラーの言葉を元に、他人ばかり意識してしまう自分の変え方と、大切にしたい合言葉をご紹介いたします。

他人のことを気にするのは自分が可愛いから

他人の顔色を伺ったり、何でも他人に合わせたり、「嫌われないように」と過剰に意識する人が本当に気にしているのは、「自分が周りからどう思われるか」。それはつまり、自分にしか興味が向いていない自己中心的なスタンスです。
自分がいい人でいたいから、嫌われたくないから、悪口を言われたくないから、必死で他人の顔色を伺ってしまう。他人を気にする人が本当に考えているのは、「わたしのこと」だけなのです。
自分の評価を上げるために、自分をいい人だと認めてもらいたいがために、他人ばかりを気にしているのですね。

一方で、肝心の他人のことは全然見ていません。
自分を守ることに必死で、よく話を聞いているふりをしながら、実際は他人のことなど注目していないのです。

他人の顔色を伺う自分に、身に覚えのあった筆者。いくら治そうとしても治せなかったのですが、「自己中心的であり、自分のことしか考えていない」という指摘に、一気に自分を変える勇気が湧きました。

他人のことまで、持ち込まない

他人のことばかり気にする人に、アドラーは「他者の課題を切り捨てよ」といいます。
あなたのことをどう思うかは「相手の課題」。
他人が自分をどう思い、どんな判断をするのか。好きなのか、嫌いなのか。それを判断するのは「他者の課題」であり、こちらが介入したり、操作するようなものではないのです。

つい相手の課題に入り込んでしまうから、私たちは恋も仕事も、苦しくなる。それよりも自分ができること、つまり「自分の課題」と向き合うことが大切なのです。

そう考えてみると、普段私たちが悩んでいるのは「他者の課題」が多いことが分かります。「ウマの合わない上司がいる」「好きな人に嫌われちゃったかも」「変な人だと思われたらどうしよう」などなど…実は考えなくていいことであり、考えてもどうしようもないことなのです。

そもそも他人を変えることはできないし、価値観や好き嫌いだって十人十色。視線を他者から、自分へと向きを変えることが大切なのです。

合言葉は「それは、誰の課題?」

私たちが考えればいいのは、「自分の課題」だけ。
自分の課題に集中するためにも、悩んだら「これは誰の課題?」を合言葉にしましょう! 他者の課題に関しては切り捨て、自分の課題について向き合うのです。

「自分の課題」だけだと、世の中はシンプルに見えます。自分の課題と向き合うことも、実際は大変ですが、様々なアプローチを自分自身でとることができます。

同時に、アドラーは「自分の課題には誰ひとりとして介入させない」といいます。これが難しいもので、つい親や友人、恋人の意見に左右されてしまうことがありますよね。他人を気にする人だからこそ、自分の課題に他人を介入させやすいところがあります。

まずは「自分の課題に他人を介入させていた」意識を持つこと。そうして、自分の素直な気持ちを大切にすることを何度も繰り返すことで、段々と自分に集中できるようになります。こればかりは練習が必要なので、何度も繰り返しましょう。

目指すは『ハイパーミディ 中島ハルコ』(東村アキコ/林真理子/集英社刊)でハルコが語る、「その時の私はまだ「私」じゃなかったから」と言える日がくること。

「他人ばかり気にして、他人を自分の課題に介入させていた私は、本当の私じゃなかったから」と言える日が来るまで、課題を分け、自分の課題に向き合うようにしてきましょう。

宮野茉莉子

東京女子大学哲学科を卒業後、証券会社で営業を経験。2011年よりフリーライターへ。 大学時代に学んだ哲学にハマり、哲学を交えた記事を執筆。悩んだら哲学本を開き、哲学者と一緒に考えるのがライフワーク。好きな哲学者はニーチェ、ハイデガー、西田幾多郎、鈴木大拙、マルクスアウレリウス。 哲学の楽しさを老若男女に伝えるこのが人生の目標。 京都と音楽も好きな3児の母。

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