
2020.06.27
イライラしている人の機嫌を取ってしまうクセは、あなたを不幸にする

writer :
宮野 茉莉子上司がイライラしていたり、恋人が不機嫌オーラを出していたり、友達の元気がなかったりしたとき、焦って相手の機嫌を良くしようと頑張ってしまいませんか? 自分がしたくてしていて、その後も満足ならいいのですが、その後どっと疲れてしまうようなら要注意。
相手の機嫌を取る行為は、何ひとつあなたを幸せにしません。それどころか、依存を生む危険な行為である場合もあるのです。
反射的に相手の機嫌を取ろうとしてしまう人
イライラしていたり、不機嫌な恋人や友人を見ていると自分も苦しくなり、反射的に「相手の気持ちを変えてあげよう」という良心から、あれこれしてあげていませんか。相手の気持ちを変えてあげようと思う方は、感受性や共感性が高いほうでしょう。
一方で、「相手に嫌われるのが怖い」「気に入られたい」という思いから、焦って機嫌をとろうとするケースも。
かくいう筆者も、不機嫌な人を見ると「相手の機嫌を直そう!」としてしまうところがありました。それはもう、考えるよりも先に、反射的に相手の機嫌をよくしようとしてしまうのです。
そのときは「良かれ」と思っているものの、その場が落ち着くと疲れたり、後になって自分の中に小さな違和感が残ったり、自分のキャパ以上の仕事を抱えてしまったり…。それはなぜかというと、相手の機嫌を優先し、自分のことを考えていないから。相手のために意にそぐわないことをしたり、自分の本音を曲げてしまったりで、疲れてしまうのです。
もう少し掘り下げると、それは「自分のため」だから。一番の目的は「自分が嫌われないため」なのです。
都合のいい人? 扱いやすい? 媚びている?
逆の立場に立って考えてみましょう。
自分が不機嫌になれば、自分の機嫌を直そうと頑張ってくれる人がいる。イライラしたとき、機嫌を取ってくれる人のところに行けば、発散できる。そんな「都合の良い」人、あなたはどう感じますか?
なんとなく、自分より下に思ってしまうのではないですか?
機嫌が悪いときでも「あの子なら自分の機嫌を良くしてくれる」という期待を抱かせてしまうと、不機嫌なときほどあなたの周りにその人は現れます。そして、思うように機嫌を取ってくれれば満足し、取ってくれなければ罵倒するでしょう。さも「あなたが悪い」と言わんばかりに。そしてあなたも、うまく機嫌が取れなかったことに罪悪感を感じてしまうのです。
これは依存以外の何物でもないのですが、互いにその自覚は薄いまま、「あの子なら自分の思う通りにできる」とあなたに付き纏います。
自分の機嫌を取るあなたを見下し、上から目線になったり、パワハラやモラハラ、マウンティングをしたりするのが「不機嫌で他人を支配する人」の本質です。そして「媚びている」「いい人のふりをしていてる」「八方美人」「本音が分からない」とあなたを攻撃し、自分が支配していい理由をこじつけます。
そう。自分は良かれと思ってやったことでも、決してあなたのためにはならない場合もある。
そこをまず認識しておきましょう。
他者との距離感を考える
他人の機嫌を取ろうとする人は、他者との距離感が近すぎたり、境界線があいまいになってしまう人です。
アドラー心理学では「課題の分離」といって、自分と他者の課題を分けます。
「相手の気分のお世話を焼くのは、私の仕事ではない」と、しっかりと境界線を引くのです。
境界線を引くラインを決めるのが「課題」。課題とは、その出来事で最終的に責任を取るのは誰か?と考えることで分けることができます。たとえば仕事にトラブルが起きた上司がイライラしていても、責任があるのは上司であり、あなたがご機嫌を取る必要はありません。あなたのことが苦手な同僚がいても、苦手に感じているのは相手の課題なので、無理にこちらが好かれようとする必要はありません。
反射的に相手の機嫌をとろうとしてしまうなら、まず「課題の分離」を行いましょう。そうして、相手の課題に入り込まないよう境界線を定め、近過ぎてしまう距離をあけるのです。
他人を変えることはできないものですし、相手が変わってくれるわけもなく、逆にストレス発散のターゲットになりやすいもの。まずは自分が変わるしかないでしょう。
ゾウのように動じない大切さ
もう一つ大切なのは、機嫌を取ろうとヘラヘラしたり、ビクビクしたり、気を遣うなどの反応を示さないことでしょう。そういった反応があるからこそ、相手を喜ばせ、より期待させてしまうのです。反応を極力減らし、動じないでいるのがベストです。
ゾウとリスを比べてみると分かりやすいかもしれません。どっしりしていてゆったりと動くゾウのような人といると、気持ちも落ち着きますし、相手をどうこうしようと思えません。一方でちょこまかと動くリスでは、相手の反応が多いので心もざわつき、どうにか相手を変えようという気持ちも湧いてきます。
イライラしたり不機嫌な人がいても、極力反応せず、動じないでゆったりと振る舞い、いつものあなたでいること。それだけで不機嫌をアピールしてくる人を周囲から減らすことができるでしょう。
そうして大切なのは、他人ではなく「自分の機嫌を取る」こと!
自分の機嫌を自分で取ることに時間を費やすようにしましょう。


