怒りやイライラを近しい人にぶつけるタイプの人がいます。そんなとき、気弱なタイプの人はそのイライラを回避しようと優しい言葉をかけたり、先回りして怒らせないように細心の注意を払ったりと、最大限の努力をしてしまうかもしれません。でも、それってあなたを幸せにする行動ではないとしたら…? 今回は「不機嫌で相手を支配する人」が身近にいる場合の対処法です。
宮野茉莉子

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宮野 茉莉子
怒りやイライラを近しい人にぶつけるタイプの人がいます。そんなとき、気弱なタイプの人はそのイライラを回避しようと優しい言葉をかけたり、先回りして怒らせないように細心の注意を払ったりと、最大限の努力をしてしまうかもしれません。でも、それってあなたを幸せにする行動ではないとしたら…? 今回は「不機嫌で相手を支配する人」が身近にいる場合の対処法です。

上司がイライラしていたり、恋人が不機嫌オーラを出していたり、友達の元気がなかったりしたとき、焦って相手の機嫌を良くしようと頑張ってしまいませんか? 自分がしたくてしていて、その後も満足ならいいのですが、その後どっと疲れてしまうようなら要注意。

相手の機嫌を取る行為は、何ひとつあなたを幸せにしません。それどころか、依存を生む危険な行為である場合もあるのです。

反射的に相手の機嫌を取ろうとしてしまう人

イライラしていたり、不機嫌な恋人や友人を見ていると自分も苦しくなり、反射的に「相手の気持ちを変えてあげよう」という良心から、あれこれしてあげていませんか。相手の気持ちを変えてあげようと思う方は、感受性や共感性が高いほうでしょう。

一方で、「相手に嫌われるのが怖い」「気に入られたい」という思いから、焦って機嫌をとろうとするケースも。

かくいう筆者も、不機嫌な人を見ると「相手の機嫌を直そう!」としてしまうところがありました。それはもう、考えるよりも先に、反射的に相手の機嫌をよくしようとしてしまうのです。

そのときは「良かれ」と思っているものの、その場が落ち着くと疲れたり、後になって自分の中に小さな違和感が残ったり、自分のキャパ以上の仕事を抱えてしまったり…。それはなぜかというと、相手の機嫌を優先し、自分のことを考えていないから。相手のために意にそぐわないことをしたり、自分の本音を曲げてしまったりで、疲れてしまうのです。

もう少し掘り下げると、それは「自分のため」だから。一番の目的は「自分が嫌われないため」なのです。

都合のいい人? 扱いやすい? 媚びている?

逆の立場に立って考えてみましょう。
自分が不機嫌になれば、自分の機嫌を直そうと頑張ってくれる人がいる。イライラしたとき、機嫌を取ってくれる人のところに行けば、発散できる。そんな「都合の良い」人、あなたはどう感じますか?
なんとなく、自分より下に思ってしまうのではないですか?

機嫌が悪いときでも「あの子なら自分の機嫌を良くしてくれる」という期待を抱かせてしまうと、不機嫌なときほどあなたの周りにその人は現れます。そして、思うように機嫌を取ってくれれば満足し、取ってくれなければ罵倒するでしょう。さも「あなたが悪い」と言わんばかりに。そしてあなたも、うまく機嫌が取れなかったことに罪悪感を感じてしまうのです。
これは依存以外の何物でもないのですが、互いにその自覚は薄いまま、「あの子なら自分の思う通りにできる」とあなたに付き纏います。

自分の機嫌を取るあなたを見下し、上から目線になったり、パワハラやモラハラ、マウンティングをしたりするのが「不機嫌で他人を支配する人」の本質です。そして「媚びている」「いい人のふりをしていてる」「八方美人」「本音が分からない」とあなたを攻撃し、自分が支配していい理由をこじつけます。

そう。自分は良かれと思ってやったことでも、決してあなたのためにはならない場合もある。
そこをまず認識しておきましょう。

他者との距離感を考える

人との距離
他人の機嫌を取ろうとする人は、他者との距離感が近すぎたり、境界線があいまいになってしまう人です。
アドラー心理学では「課題の分離」といって、自分と他者の課題を分けます。
「相手の気分のお世話を焼くのは、私の仕事ではない」と、しっかりと境界線を引くのです。

境界線を引くラインを決めるのが「課題」。課題とは、その出来事で最終的に責任を取るのは誰か?と考えることで分けることができます。たとえば仕事にトラブルが起きた上司がイライラしていても、責任があるのは上司であり、あなたがご機嫌を取る必要はありません。あなたのことが苦手な同僚がいても、苦手に感じているのは相手の課題なので、無理にこちらが好かれようとする必要はありません。

反射的に相手の機嫌をとろうとしてしまうなら、まず「課題の分離」を行いましょう。そうして、相手の課題に入り込まないよう境界線を定め、近過ぎてしまう距離をあけるのです。

他人を変えることはできないものですし、相手が変わってくれるわけもなく、逆にストレス発散のターゲットになりやすいもの。まずは自分が変わるしかないでしょう。

ゾウのように動じない大切さ

もう一つ大切なのは、機嫌を取ろうとヘラヘラしたり、ビクビクしたり、気を遣うなどの反応を示さないことでしょう。そういった反応があるからこそ、相手を喜ばせ、より期待させてしまうのです。反応を極力減らし、動じないでいるのがベストです。

ゾウとリスを比べてみると分かりやすいかもしれません。どっしりしていてゆったりと動くゾウのような人といると、気持ちも落ち着きますし、相手をどうこうしようと思えません。一方でちょこまかと動くリスでは、相手の反応が多いので心もざわつき、どうにか相手を変えようという気持ちも湧いてきます。

イライラしたり不機嫌な人がいても、極力反応せず、動じないでゆったりと振る舞い、いつものあなたでいること。それだけで不機嫌をアピールしてくる人を周囲から減らすことができるでしょう。

そうして大切なのは、他人ではなく「自分の機嫌を取る」こと!
自分の機嫌を自分で取ることに時間を費やすようにしましょう。




 

宮野茉莉子

東京女子大学哲学科を卒業後、証券会社で営業を経験。2011年よりフリーライターへ。 大学時代に学んだ哲学にハマり、哲学を交えた記事を執筆。悩んだら哲学本を開き、哲学者と一緒に考えるのがライフワーク。好きな哲学者はニーチェ、ハイデガー、西田幾多郎、鈴木大拙、マルクスアウレリウス。 哲学の楽しさを老若男女に伝えるこのが人生の目標。 京都と音楽も好きな3児の母。

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