
2019.05.17
ダイエットのために脂質をカット? その情報、古いです!!

writer :
Lily-Jay編集部
先日、牛丼チェーンの吉野家が、パーソナルトレーニングジムのライザップとコラボした低糖質メニュー「ライザップ牛サラダ」なるメニューを出したとき、SNSではこんな反応がたくさん並びました。
「ダイエットしている人が吉野家なんか行くの?」
「脂質が27gもあるのに痩せられるわけないじゃんwww」
残念ながらこんな意見を抱いた人は、情報のアップデートが遅いと言わざるを得ません。
ほんのちょっと前まで、ダイエットというと「脂肪をカット」が当たり前でした。
無脂肪乳は当たり前に売られていますし、低脂肪ヨーグルトや「脂肪〇%カット」なんていう食品が、一見健康そうな見た目で売られています。
「脂肪」を摂ると、「体脂肪」が増える。
これが、私たちの常識だったのではないでしょうか?
でも、これは過去の常識となっています。
脂質を摂取しても問題はない。
逆に、ダイエットにある程度の脂質は必要なのです。
確かに、痩せたい場合に脂質カットは効く。でも落とし穴が…!
確かに、脂質をカットすることでカロリー制限になりますので、痩せることは可能です。
ただし、こんな落とし穴があるのです。
脂質制限の落とし穴①糖質が増えてしまう
厳密なカロリー制限をしている場合、カロリーが低いものを、低いものを、と考えていくと、どうしても炭水化物が中心の食事になってしまいます。
また、野菜に含まれる糖質も問題です。
パスタやごはんはカロリーこそ少なめですが、糖質の塊なので食後の血糖値が上がりやすくなります。
血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌されますが、このインスリンが出るときに血中の糖分を脂肪に変え、体に溜め込もうとする働きが起こります。
カロリー制限をしても痩せない、というのはこれが原因です。
糖質の摂取によって食欲も増幅されますので、食後すぐに空腹を感じ「食べたいのに食べられない」状態が長く続いてしまいます。
脂質制限の落とし穴②免疫力が低下する
あるトレーナーの人が、脂質を極端に制限した生活を1カ月送りました。
体重は減ったのですが、滅多に引かない風邪を引くなど、免疫力の低下に悩まされました。
脂質は人体に必要不可欠な栄養素であり、これが不足すると人体のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)が作られません。結果、免疫力の低下を招いてしまうのです。
ATPの産生のためにも、適度な脂質は必要不可欠と言えます。
脂質制限の落とし穴③肌や髪の乾燥
適度な脂質は肌の保水能力を高め、きめを整えます。
脂を制限すると、肌の乾燥が進み、カサカサになってしまいます。
また、脂質の不足によって抜け毛や髪の乾燥なども招きます。
ダイエット以外でも「脂の摂りすぎは健康に悪い」というのが定説で、医者に注意されたことがある人もいることでしょう。しかし、ハワイに住む日系人8000人を対象に行った調査では、脂の多い食生活を送ることによって脳卒中のリスクが減ることがわかっています。
( https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/47/3/47_3_121/_pdf )
極端な脂質制限は、ダイエットにも健康にも良くないのです。
「無制限に摂取していい」わけではないので注意
糖質制限の指導者の中には、「動物性の脂質を無制限に摂取すれば痩せられる」と語っている人もいます。
これには、あてはまる人とそうでない人がいるので注意が必要です。
標準体重よりかなり重い、例えば100kg以上の「肥満」に分類されるような方の場合は、脂質を摂取すると食欲が満たされ、過食をしなくなります。このため、結果的に体重が減少するということはあるようです。
一方、40~60kgの標準体重の人の場合、脂質を無制限に摂取すると代謝できる量を超えてしまい、痩せるどころか太ってしまう、というようなことがあります。
完全にカットしてしまうのはダメ、というのは上で述べたとおりですが、「無制限に食べて良い」というのも疑ってかかるべき、というのが現実のようです。
適度に脂質を摂ることがダイエットの近道!
そんなわけで、もしあなたが標準体重かそれよりちょっと重いくらいの人だった場合は
- 糖質を控えめにする(1日60g~130g)
- 糖質のかわりにたんぱく質を多めに摂る(1日100g程度)
- 脂質は摂りすぎない程度に摂取(40~60g程度)
を心がけることで、適正な体重に近づけるでしょう。
この数値の範囲内であれば、焼肉や唐揚げは最強のダイエット食になる、ということです。
油だったらなんでもいいわけじゃない
注意点としては、脂質だったらなんでも摂っていいというわけではない、ということです。
一番気を付けたいのが、植物性の油脂。
マーガリンやショートニングなどに含まれているトランス脂肪酸は、海外では使用が禁止されているほど体に悪いもの。
心筋梗塞やアレルギー疾患などのリスクを高めるといわれています。
- バター
- ラード
- 牛脂
- 生クリーム
など、動物性の油脂を選ぶようにしましょう。
脂質は私たちの体に必要不可欠な栄養素。
無暗に怖がらず、しっかり摂取してきましょう。